2022年 年頭所感

皆様、明けましておめでとうございます。全国万引犯罪防止機構の竹花です。

昨年中、当機構の行いました万引防止に関する様々な取り組みについて、多くの皆様のご支援、ご協力を頂いたことに深く感謝を申し上げますとともに、本年も変わらぬご助力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

さて、全国の刑法犯認知件数は2002年をピークに大幅に減少する中、他の犯罪に比して万引の減少幅は極端に緩やかであり、全刑法犯に占める割合は年々増加傾向にあります。また近年、ドラッグストア等に対する東南アジア系外国人を中心とした窃盗グループによる集団的、連続的大量万引が発生し、大きな社会問題となっています。

こうした万引犯罪は、現場で対処する従業員の負担を招くだけではなく、他の買い物客に大きな不安を与え、地域住民の体感治安を低下させ、社会全体の安全安心を脅かし続けています。

そのような状況を打破すべく、当機構は従前より関係機関と協力しながら様々な万引対策を推進しております。

一つは、「商売は競争しても万引対策は協働」との理念の下、異なる事業者間における万引被害・犯人情報を共有・活用するのための各プロジェクトの着実な進展です。

「渋谷書店万引対策共同プロジェクト」として、渋谷地区の3書店間における顔認証情報の共同利用開始から2年半が経過しましたが、再来店した犯人に対する従業員による声掛けや、コロナ禍によるマスク着用者に対するカメラの認証機能改善などにより、大幅なロス率の減少、万引抑止の成果を上げております。今後の展望として、他地域への拡大運用を見据えております。

また、主に東南アジア系外国人に敢行される大量万引被害発生時に、異なる事業者間で万引対策上有用な情報を迅速に共有する「緊急通報システムプロジェクト」も開始後2年余を経ました。これは、運用開始当初は、被害日時、場所、被害品、犯人の特徴などを文字情報のみで共有するものでしたが、昨年来、頭部全体をマスキングした犯人画像の共有を開始し、対策の有効性が飛躍的に高まっています。一部の地域に限定して開始したこの取組みではありますが、今後、地域と参加事業者の大幅な拡大を見込んでおります。

これら2つのプロジェクトは、いずれも個人情報を取り扱うことから、法的な問題や社会的相当性のハードルをクリアしなければなりません。そこで、当機構が昨年1月に「認定個人情報保護団体」に認定されたことに伴い、当機構内に「個人情報安全利用推進委員会」を新設し、事務局に配置した個人情報保護推進室に専任の担当者を置き、個人情報保護に係る体制を強化しました。これら2つのプロジェクトに限らず、今後、各関係事業者が直面する、個人情報保護と万引防止の様々な問題を解決するための十分な体制を構築したと自負しております。

また近年、誰でも簡単にオークションサイト等を利用できるようになったことにより、これらのインターネット市場を処分先として万引を誘発し、実際に万引の被害品を含む盗品が数多くインターネット市場に流通しております。当機構は、インターネット処分市場問題への対策として、主要な関係事業者に呼びかけ、サイト等の運営事業者が当機構の一員となり、当機構内に設置した「インターネット委員会」において、インターネット市場から盗品を排除するための実効性のある仕組みを構築しております。

さらに当機構では、昨年、「ロス対策士検定試験」を初めて実施いたしました。これは、小売業の万引を含む不明ロス率をコントロールするのに十分な人材を育成するために、「LP教育制度作成委員会」を設置して検討を進めてきた事業が結実したものです。これにより、小売業および関連するビジネスにおいて経営管理者として必須の知識・技術である「ロス・プリベンション」のグローバル・スタンダードが根付き、数多くのロス対策の専門家が育成されることが期待されます。

以上、当機構の取組みの一端を紹介しましたが、このほかにも様々な啓発、研修等の活動を推進中であり、本年は、これらの諸活動を更に発展させて形にする1年にしたいと考えております。

当機構の存在価値は、万引きという大きな社会問題の解決に貢献するという公共的なものでありますが、他方で、万引きで苦しむ小売事業者の味方となり、その抱える悩みや苦労を解決することにもあります。それを可能にするためには、この機構の構成は、この問題に関心を寄せる有識者、警察、検察関係者、防犯機器製造、販売事業者、警備関係事業者はもちろんのこと、小売事業者多数であるべきだと思います。これにより、その活動はより的を得た、また、活気のあるものになると思うのです。

 そこで、私たちは、これまで当機構を構成していただいてきた小売事業者の団体の皆様に、加盟されている事業者個々が当機構に参画することを促していただけるようお願いしております。皆様におかれましても、よろしくお願い申し上げます。

結びに、皆様のご健勝、ご活躍を祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。